ルーク ハント。 ルーク・ハントの声優は糸川耀士郎!経歴・作品・彼女まとめ

ルーク・ハントの声優は糸川耀士郎!経歴・作品・彼女まとめ【ディズニーツイステ】|ディズニーアンテナ

ルーク ハント

なんと月が美しい夜だろうか。 金色に輝くそれが浮かぶ空には雲一つ見当たらない。 星の光すらかき消してしまう程の月光が降り注ぐこの場所は深い静寂に包まれていた。 ナイトレイヴンカレッジの本校舎である古城の一室、多くの者に存在すら忘れ去られているであろうこの部屋で一人恋しい人を待つ。 待ち合わせの時間までは、まだもう少しある。 早く逢いたいと願うばかりに、随分と早く到着してしまった。 待ち遠しい、しかし決して退屈ではない。 彼女の来訪を待つこの時間に考えることは山の様にあった。 彼女は元気にしていただろうか、今日はどんな話をしようか、どのような姿で会いに来てくれるのだろう、微笑んでくれるだろうか。 考えることは彼女のことばかりだった。 重厚な木製の扉がゆっくりと開く。 古くなった蝶番が小さく音を立てた。 月光を楽しむために明かりを用意せず、薄暗い部屋に遠慮がちな小さな足音が響いた。 窓際の床から立ち上がり、彼女の元へと向かう。 「ボン・ソワー。 愛しのマドモアゼル」 きょろきょろと当たりを見回していた彼女と視線が交差する。 ようやく会えた。 「真っ暗だったから、誰もいないのかと思いました」 「まさか、私がキミとの約束を違えるはずがないだろう」 言いながら彼女の右手を取り、その甲にキスを落とす。 彼女の母国にはないらしいこの行為にいつもくすぐったそうにするのがまた可愛らしい。 「おや、制服で来たのかい」 時刻はもう真夜中に近い。 本来であればシャワーを浴びてベッドへ入っているような時間にもかかわらず、彼女は制服姿だった。 私の言葉に彼女は、バツが悪そうに笑った。 「今日は補習がいくつも重なってしまって、ようやく終わったと思ったら今度はグリムが色々やらかしてくれまして…。 後片付けやらなにやらをして、夕食を摂ったらこんな時間になってしまいました」 「そうか。 それはよく頑張ったね。 お疲れ様」 疲労の色が見える彼女を少しでも休ませてあげたいと、繋いだままにしていた手を引き、先ほどまで腰を下ろしていた、月見には絶好の場所へとエスコートする。 「おいで、今夜は格別に月が美しいんだ」 この部屋には小さなバルコニーが付いていた。 月を眺めるには外に出るのがいいのだろうけれど夜風が冷たい。 彼女に無理をさせるのは本意ではないから、二人並んで窓際の床に腰を下ろしていた。 肩を寄せ合い、互いの体温を感じる。 心地よく、穏やかだった。 「月、綺麗ですね」 「あぁ、早くキミと眺めたいと思っていたんだ」 「そういえば、ルークさん、随分早く着きました?」 「待ちきれなくて寮でそわそわしてしまっていたらしくてね、ヴィルに不審がられたので早く出てきたんだ」 「あはは、そうだったんですね」 私達が想い合い、こうして夜の逢瀬を重ねていることは周囲には内緒にしてある。 絶対に隠さなければならない事情があるわけではないが、魔法が使えない生徒であり、新たな寮の監督生でもあり、さらに唯一の女性である彼女は学園内で極めて目立っている。 それは良い意味でも、悪い意味でもそうだった。 中には、様々な理由によって彼女を快く思っていない生徒もいるようだから余計な波風が立たないよう、私達は努めている。 とはいえ、彼女が私の恋人であると公言したい気持ちもある。 彼女の素晴らしさを自慢したいし、彼女に色目を使う生徒への多いなる牽制にもなる。 それに何より、無二の友人であるヴィルに隠し事を続けるのは忍びない。 そういった理由から、急ぐことはしないが、いつか二人で堂々と歩ければと願っている。 その日がくるまでは、この秘密の関係を楽しもうと思う。 「ヴィルさんと言えば、この間中庭で急に呼び止められたんですよ」 「ヴィルがキミを?珍しいね。 何かあったのかい?」 「私もびっくりしたんですけど、どうもブレザーに糸くずがついていたみたいで。 親切に取って下さったんです。 それと、制服は美しく着なさい、と言われました」 それからは気を付けています、と苦笑する彼女を見つめながら少々疑問を感じていた。 乱れを許せないと言うのはヴィルらしいが、それでわざわざ彼女を呼び止め、更に糸くずをとってあげるなんて。 首を傾げていると、彼女の言葉が続いた。 「突然呼び止められて驚いたんですけど、それよりも、近くで見ると本当にお綺麗ですごく緊張しました」 「あぁ、彼は本当に美しい。 あの美しさ、そして常に向上しようという姿勢は素晴らしいね」 ヴィルの美しさは非の打ち所がない。 そして、その美しさは彼の絶え間ない努力によるものであることを、副寮長として隣に立つ私が恐らく一番よく知っている。 ヴィルの美しさを間近で見るためならば、彼から求められる多少の手間は惜しくないものだ。 彼の美しさは孤高であり、絶対に手を触れてはならないし、自ら触れようとも思わない。 更に、今私の隣に座り、他愛もない話に興じる彼女もまた美しい。 しかし、ヴィルの美しさとは大きく異なる点があった。 それは、私が彼女に触れたいと思ってしまうことだった。 ヴィルの美しさを説く私の言葉に彼女はうんうんと頷いて見せた。 それに伴い、豊かな髪が揺れる。 無意識に目で追う。 濡れ羽色の髪と東洋人特有の透き通った白い肌のコントラストが美しいと感じると、思わずその頬に手を伸ばし、引き寄せ、唇を重ねた。 「んん…」 触れては離れる。 短いキスを何度も何度も繰り返す。 温かく柔らかな唇は何度触れ合っても飽きることがないどころか、重ねるほどにもっと欲しいと感じさせる。 彼女は突然のキスに驚いているかもしれないが、私にとっては突然でもなんでもない。 最愛の恋人と真夜中に薄暗い部屋二人きり、しかも身を寄せ合っている。 私も男だ、触れたくならない方がどうかしている。 「ルークさ、ん…」 「好きだよ…」 触れるだけだったキスに更なる欲望が滲む。 彼女の唇を舐め、食んでやる。 彼女の身体から徐々に力が抜け、縋るように私の胸に手をつく。 そのまま腕の中に収めてしまえばもう離してやれそうになかった。 小さく薄い舌を絡めとり、擦り合わせる。 一度離れては角度を変えてまた重ね、吸い付いてやる。 時折漏れる彼女の吐息がさらに私を煽る。 室内に小さな水音が響く。 彼女の息が続かなくなった頃合いで、ようやく唇が離れる。 どちらのものともわからない唾液が私達を繋ぎ、ぷつりと切れた。 腕の中の彼女のなんと色っぽく、蠱惑的なことか。 乱れた呼吸に、上気した頬、今にも零れそうなくらいに涙で潤んだ瞳、そして濡れた唇。 それらは私の理性を揺るがすには十分過ぎた。 「あっ、ちょ…」 顔を離してすぐに、吸い寄せられるように白い首筋にキスを落とす。 味なんて本来しないはずだけれど、私にとってはとても甘い。 必要以上に飾ることのない彼女の香りと体温に包まれるのは非常に心地よかった。 もっと、もっとと繰り返しているうちに腕の中の彼女の身体が強張ってきていることに気がついた。 抵抗の意思は感じないけれど、恐怖か緊張か、それともその両方か。 本当はもっと触れていたい。 飽きるくらいにキスをしたいし、彼女の心も身体もすべてを手に入れてしまいたいと切望している。 それは真実ではあるけれど、実現するのは今ではない。 離れがたいし、このまま欲望に身を任せてしまいたい気持ちを抑え込んで、このキスで最後だと自分自身に言い聞かせる。 ゆっくりと肌に口づけ、数秒の後、そっと身体を離した。 「すまないね、私としたことが今夜の月に唆されてしまうところだった」 狩人である私が月光で獣になるなんて、とんだお笑い種だ。 視線を少しだけ落として彼女と見つめあうけれど、すぐに恥ずかしそうに私の胸に顔を埋めてしまった。 「いえ、大丈夫です…」 「そういう割にはまだ身体が固いようだが?」 「……だって、いきなりあんなことされたら驚くし、緊張します」 「そうか…。 驚き、緊張はしたものの嫌ではなかったということだね?」 そう問えば、胸に当たる彼女の頭が左右にぐりぐりと動いた。 是ととれる返答に思わず頬が緩む。 触れたいと思っているのは自分だけではなかったということだ。 嬉しく思うし、それならまだ待てる。 焦らず、ゆっくりと愛を育めばよいのだ。 彼女の髪に手を差し込んで、より強く抱き締める。 逃げられる予感はしていないが、決して逃がしはしない。 「いつか、君を抱き締めて眠る日を楽しみにしているよ」 幸いなことに待つのは得意だ。 狩りと同じくその時をじっと待ち、狩りとは違って私のすべてをもってして大切に彼女を愛することを、今宵の月に誓おう。 Fin ヴィルは二人の事を気づいてて監督生に話しかけていると思います。

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ルーク・ハントの声優は糸川耀士郎!経歴・作品・彼女まとめ

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ふと顔を上げて時計を見ると日付が変わっていた。 あぁいけない。 コラムの原稿に筆がのってしまった。 明日も夜遅くなるのがわかってるのに2日連続で寝不足だなんてよくないわ。 今日は4月8日。 つまり明日はアタシの誕生日。 誕生日が近くなると周りから人が減ってくる。 4月になったあたりから徐々に減って、前日なんてほとんど人が寄り付かない。 普段は用もなく声を掛けてくるような人でさえも、なんとなくアタシを避ける。 その様がいとしいと思う。 そういう人たちは大抵、きちんとアタシの誕生日をおぼえていて、アタシのためになにかをしようとしている。 少し前からそわそわと準備をしていて、その事をアタシに悟られないように、ボロを出してしまわないようにあえて距離を置こうとする。 いじらしくてかわいらしいじゃない? だからアタシは、孤独な今日も嫌いじゃない。 誕生日イブにアタシがすべきことといえば、そんなかわいい彼らのために、なにも気付いていない顔で普段通りに振る舞うこと。 [newpage] 『Bonjour』 『授業おつかれさま』 『手間をかけさせて申し訳ないのだけれど』 『教室を出る時に連絡を入れてほしいな』 『よろしくお願いするよ』 授業が終わってスマホを見ると、なんとも自然な文面のこの上なく不自然なメッセージが届いていた。 普段はアタシの都合なんて気にせず直接押しかけてくるルークがメッセージを送って寄越すなんてあまりにおかしい。 突然帰られると困るってことなんだろう。 もちろん察しはついている。 気付かないふりをして黙って帰ってみようかしら。 と悪戯心が芽生えないわけでもなかったけれど、困るのがルークだけじゃないこともわかっていたから素直にメッセージを打った。 『今日の授業は終わった。 けどこれから仕事で出かけるから、戻りは遅くなる』 そうこうしてるうちに教室はすっかり静かになっていた。 やっぱり誰からもお別れの挨拶をされなかったわね。 と思いながら荷物をまとめているとスマホが震えた。 『仕事』 『そうだった!』 『終わったらおしえて』 『迎えに行く』 アタシは目を剥いた。 なんて強引な。 『迎えなんていらないわよ』 すぐに返信がきた。 『のん』 『Non!』 『そんなことを言わないでRoi du poison』 『迎えに行かせておくれ』 強引なメッセージに返信する気になれず、そのまま画面をスリープした。 まったく不自然な態度だ。 いくらなんでも、せめてもっとスマートにできないものかしら。 [newpage] すっかり遅くなって スタジオの隅で課題をやっていたせいもあるのだけれど 学園へ戻ると、宣言どおりルークが待っていた。 涼しげな顔で月を見上げていたルークは、アタシの顔を見るなり嬉しそうに笑った。 「おかえり、ヴィル」 「ただいま。 寮へ行くわよ」 「あー……ちょっと待って。 少しここで月を見ようよ」 「なに言ってんのよ。 アタシが忙しいの、知ってるでしょ」 呼び止めるルークに返すこれは意地悪。 けど、ルークがあまりにもへたくそなのがいけない。 ルークはふふ、と笑んでみせた。 「怒らせちゃった? やはり不自然だったかな?」 「あたりまえ。 強引なのは美しくないわよ。 不自然すぎてバレバレ。 サプライズにもなってないわ。 去年のほうがまだマシだったんじゃなくって?」 「ウープス。 手厳しいねぇ。 しかし私は嘘をつけない性分なんだ、正直者だからね」 「息するように嘘ついてんじゃないわよ」 アタシの言葉を聞いているのかいないのか、ルークはへらへらしている。 これじゃいつもの言葉遊びだ。 ため息をついた。 ルークには何を言っても無駄。 ぜーんぶのらりくらりとかわしちゃうんだから。 「いいわ。 乗ってあげる。 アタシはどうしたらいいの?」 ルークのやり方が失敗だとしても、ルークに時間稼ぎを頼んだであろう寮生たちに罪はない。 たとえバレバレだったとしても、こういうのはちゃんと祝われてあげるべきなのだ。 「メルシーボークー!」 アタシの言葉を聞いてルークは嬉しそうに笑った。 そして恭しく跪いて手を伸べる。 「あら。 エスコートのつもり?」 「ウィ! せめてもの罪滅ぼしさ。 お手をどうぞ。 ロア・ドゥ・ポアゾン」 ルークは実に楽しそうに言う。 ここまでテンションを上げるのは無理だけど、乗ると決めたなら楽しまなきゃ損だ。 大仰なルークに呼応してアタシもパーティみたいに手を伸ばす。 差し出した手をとったルークは、やはり大仰にアタシの指先にキスをした。 「さあ行こうか。 そろそろいい頃合いだ」 ルークはいつだって楽しそうだけど、今日のルークはいつも以上だ。 「アンタの振る舞いがもう少し自然だったら、サプライズとしても完璧だったのに」 「そうかい? でもなにをしたってキミは気付くだろう、美しく聡明なヴィル?」 「まあそうだけど」 ルークに手を引かれるまま廊下を曲がる。 寮はこっちじゃない。 「ちょっと、どこいくのよ」 「エクスキューゼモァ。 恥ずかしながらキミを待ってたらお腹がすいてしまってね。 食堂に寄らせておくれ」 「まったくもう……。 日付変わっちゃうわよ」 お粗末な嘘にため息をついた。 時間稼ぎの意味もあるんだろうとは思うけど。 まったくかわいらしくて嘘くさい嘘だこと。 乗ってあげると決めた以上、素直に時間稼ぎにも付き合ってあげないといけない。 営業時間外の食堂は分厚い大きな扉が重く閉ざされていた。 ルークが重たいドアを開く。 ルークはこれ以上ないほど美しい笑顔でアタシの手を取りながら声を上げた。 「さあみんな! 主役のおでましだ。 せーの!」 「「「ハッピーバースデー! ヴィル!」」」 向けられたハッピーな言葉とクラッカーの破裂音と、少し遅れて火薬のにおい。 そこにいたのはよく知る面々。 ポムフィオーレの寮生たちはもとより、別の寮の人間たちも、食堂のゴーストたちも……先生たちまでいる。 「驚いた?」 呆気にとられているアタシを見て、サプライズが成功したのが嬉しくてたまらないらしいルークがにやにやしながら聞いてくる。 悔しいけど驚いた。 ルークの不自然な行動はわざとだったんだわ。 「……聞くまでもないでしょ。 アンタのミスリードには恐れ入るわ。 すっかり騙された」 「ウィウィ! キミを喜ばせるためなら私は愚かな道化になることも厭わないのさ」 そしてルークはアタシの手を優しく引く。 「さあ、美しきヴィル。 キミが生まれた日を祝いたいと、皆が待っているよ」 サプライズの功労者は恭しくそう言って再びアタシの指先に唇を落とすとそっと手を離した。 「そうね。 ゲストをお待たせしすぎるのは美しくない」 アタシは笑って、火薬のにおいの残る食堂へと足を踏み入れた。

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【ツイステッドワンダーランド】身長順・学年クラス別・出身地別キャラまとめ!

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なんと月が美しい夜だろうか。 金色に輝くそれが浮かぶ空には雲一つ見当たらない。 星の光すらかき消してしまう程の月光が降り注ぐこの場所は深い静寂に包まれていた。 ナイトレイヴンカレッジの本校舎である古城の一室、多くの者に存在すら忘れ去られているであろうこの部屋で一人恋しい人を待つ。 待ち合わせの時間までは、まだもう少しある。 早く逢いたいと願うばかりに、随分と早く到着してしまった。 待ち遠しい、しかし決して退屈ではない。 彼女の来訪を待つこの時間に考えることは山の様にあった。 彼女は元気にしていただろうか、今日はどんな話をしようか、どのような姿で会いに来てくれるのだろう、微笑んでくれるだろうか。 考えることは彼女のことばかりだった。 重厚な木製の扉がゆっくりと開く。 古くなった蝶番が小さく音を立てた。 月光を楽しむために明かりを用意せず、薄暗い部屋に遠慮がちな小さな足音が響いた。 窓際の床から立ち上がり、彼女の元へと向かう。 「ボン・ソワー。 愛しのマドモアゼル」 きょろきょろと当たりを見回していた彼女と視線が交差する。 ようやく会えた。 「真っ暗だったから、誰もいないのかと思いました」 「まさか、私がキミとの約束を違えるはずがないだろう」 言いながら彼女の右手を取り、その甲にキスを落とす。 彼女の母国にはないらしいこの行為にいつもくすぐったそうにするのがまた可愛らしい。 「おや、制服で来たのかい」 時刻はもう真夜中に近い。 本来であればシャワーを浴びてベッドへ入っているような時間にもかかわらず、彼女は制服姿だった。 私の言葉に彼女は、バツが悪そうに笑った。 「今日は補習がいくつも重なってしまって、ようやく終わったと思ったら今度はグリムが色々やらかしてくれまして…。 後片付けやらなにやらをして、夕食を摂ったらこんな時間になってしまいました」 「そうか。 それはよく頑張ったね。 お疲れ様」 疲労の色が見える彼女を少しでも休ませてあげたいと、繋いだままにしていた手を引き、先ほどまで腰を下ろしていた、月見には絶好の場所へとエスコートする。 「おいで、今夜は格別に月が美しいんだ」 この部屋には小さなバルコニーが付いていた。 月を眺めるには外に出るのがいいのだろうけれど夜風が冷たい。 彼女に無理をさせるのは本意ではないから、二人並んで窓際の床に腰を下ろしていた。 肩を寄せ合い、互いの体温を感じる。 心地よく、穏やかだった。 「月、綺麗ですね」 「あぁ、早くキミと眺めたいと思っていたんだ」 「そういえば、ルークさん、随分早く着きました?」 「待ちきれなくて寮でそわそわしてしまっていたらしくてね、ヴィルに不審がられたので早く出てきたんだ」 「あはは、そうだったんですね」 私達が想い合い、こうして夜の逢瀬を重ねていることは周囲には内緒にしてある。 絶対に隠さなければならない事情があるわけではないが、魔法が使えない生徒であり、新たな寮の監督生でもあり、さらに唯一の女性である彼女は学園内で極めて目立っている。 それは良い意味でも、悪い意味でもそうだった。 中には、様々な理由によって彼女を快く思っていない生徒もいるようだから余計な波風が立たないよう、私達は努めている。 とはいえ、彼女が私の恋人であると公言したい気持ちもある。 彼女の素晴らしさを自慢したいし、彼女に色目を使う生徒への多いなる牽制にもなる。 それに何より、無二の友人であるヴィルに隠し事を続けるのは忍びない。 そういった理由から、急ぐことはしないが、いつか二人で堂々と歩ければと願っている。 その日がくるまでは、この秘密の関係を楽しもうと思う。 「ヴィルさんと言えば、この間中庭で急に呼び止められたんですよ」 「ヴィルがキミを?珍しいね。 何かあったのかい?」 「私もびっくりしたんですけど、どうもブレザーに糸くずがついていたみたいで。 親切に取って下さったんです。 それと、制服は美しく着なさい、と言われました」 それからは気を付けています、と苦笑する彼女を見つめながら少々疑問を感じていた。 乱れを許せないと言うのはヴィルらしいが、それでわざわざ彼女を呼び止め、更に糸くずをとってあげるなんて。 首を傾げていると、彼女の言葉が続いた。 「突然呼び止められて驚いたんですけど、それよりも、近くで見ると本当にお綺麗ですごく緊張しました」 「あぁ、彼は本当に美しい。 あの美しさ、そして常に向上しようという姿勢は素晴らしいね」 ヴィルの美しさは非の打ち所がない。 そして、その美しさは彼の絶え間ない努力によるものであることを、副寮長として隣に立つ私が恐らく一番よく知っている。 ヴィルの美しさを間近で見るためならば、彼から求められる多少の手間は惜しくないものだ。 彼の美しさは孤高であり、絶対に手を触れてはならないし、自ら触れようとも思わない。 更に、今私の隣に座り、他愛もない話に興じる彼女もまた美しい。 しかし、ヴィルの美しさとは大きく異なる点があった。 それは、私が彼女に触れたいと思ってしまうことだった。 ヴィルの美しさを説く私の言葉に彼女はうんうんと頷いて見せた。 それに伴い、豊かな髪が揺れる。 無意識に目で追う。 濡れ羽色の髪と東洋人特有の透き通った白い肌のコントラストが美しいと感じると、思わずその頬に手を伸ばし、引き寄せ、唇を重ねた。 「んん…」 触れては離れる。 短いキスを何度も何度も繰り返す。 温かく柔らかな唇は何度触れ合っても飽きることがないどころか、重ねるほどにもっと欲しいと感じさせる。 彼女は突然のキスに驚いているかもしれないが、私にとっては突然でもなんでもない。 最愛の恋人と真夜中に薄暗い部屋二人きり、しかも身を寄せ合っている。 私も男だ、触れたくならない方がどうかしている。 「ルークさ、ん…」 「好きだよ…」 触れるだけだったキスに更なる欲望が滲む。 彼女の唇を舐め、食んでやる。 彼女の身体から徐々に力が抜け、縋るように私の胸に手をつく。 そのまま腕の中に収めてしまえばもう離してやれそうになかった。 小さく薄い舌を絡めとり、擦り合わせる。 一度離れては角度を変えてまた重ね、吸い付いてやる。 時折漏れる彼女の吐息がさらに私を煽る。 室内に小さな水音が響く。 彼女の息が続かなくなった頃合いで、ようやく唇が離れる。 どちらのものともわからない唾液が私達を繋ぎ、ぷつりと切れた。 腕の中の彼女のなんと色っぽく、蠱惑的なことか。 乱れた呼吸に、上気した頬、今にも零れそうなくらいに涙で潤んだ瞳、そして濡れた唇。 それらは私の理性を揺るがすには十分過ぎた。 「あっ、ちょ…」 顔を離してすぐに、吸い寄せられるように白い首筋にキスを落とす。 味なんて本来しないはずだけれど、私にとってはとても甘い。 必要以上に飾ることのない彼女の香りと体温に包まれるのは非常に心地よかった。 もっと、もっとと繰り返しているうちに腕の中の彼女の身体が強張ってきていることに気がついた。 抵抗の意思は感じないけれど、恐怖か緊張か、それともその両方か。 本当はもっと触れていたい。 飽きるくらいにキスをしたいし、彼女の心も身体もすべてを手に入れてしまいたいと切望している。 それは真実ではあるけれど、実現するのは今ではない。 離れがたいし、このまま欲望に身を任せてしまいたい気持ちを抑え込んで、このキスで最後だと自分自身に言い聞かせる。 ゆっくりと肌に口づけ、数秒の後、そっと身体を離した。 「すまないね、私としたことが今夜の月に唆されてしまうところだった」 狩人である私が月光で獣になるなんて、とんだお笑い種だ。 視線を少しだけ落として彼女と見つめあうけれど、すぐに恥ずかしそうに私の胸に顔を埋めてしまった。 「いえ、大丈夫です…」 「そういう割にはまだ身体が固いようだが?」 「……だって、いきなりあんなことされたら驚くし、緊張します」 「そうか…。 驚き、緊張はしたものの嫌ではなかったということだね?」 そう問えば、胸に当たる彼女の頭が左右にぐりぐりと動いた。 是ととれる返答に思わず頬が緩む。 触れたいと思っているのは自分だけではなかったということだ。 嬉しく思うし、それならまだ待てる。 焦らず、ゆっくりと愛を育めばよいのだ。 彼女の髪に手を差し込んで、より強く抱き締める。 逃げられる予感はしていないが、決して逃がしはしない。 「いつか、君を抱き締めて眠る日を楽しみにしているよ」 幸いなことに待つのは得意だ。 狩りと同じくその時をじっと待ち、狩りとは違って私のすべてをもってして大切に彼女を愛することを、今宵の月に誓おう。 Fin ヴィルは二人の事を気づいてて監督生に話しかけていると思います。

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