我妻 善 逸 小説。 我妻 善逸 夢で『円尾坂の仕立屋』

#2 我妻善逸は笑わない

我妻 善 逸 小説

ひと頃よく話題にのぼった「ツンデレ」というのもその一種だと思うが、「ギャップを持たせる」というのは、漫画などでキャラを立てる際のわかりやすい手法のひとつであり、その効果を最大限に活かして(強調して)作られているのが、いわゆる二重人格のキャラクターたちだろう。 フィクションの世界で描かれ続けてきた二重人格 たとえば、スティーヴンソンの『ジキルとハイド』から、90年代に流行した一連のサイコホラーの文学・映画・漫画にいたるまで、正常と異常の心が1つの身体に共存する個性的な悪役たちを、これまでフィクションの世界は数多く生み出してきた。 要は、その正常時と異常時のギャップが激しければ激しいほど、悪の恐ろしさや悲しみが際だつわけだが、この2つの人格の差異が生み出す意外性を、悪役でなく正義の側で活かしたキャラクターのパターンも少なくない。 彼らの多くは、普段は温厚な性格の持ち主だが、ある局面においては封印されている凶暴な別の人格を解き放ち、異能を発揮して目の前の壁を打ち破っていく。 この種の主人公たちもまた、前述の悪役たちと同じで、普段の姿と別の人格を見せたときのギャップがそのまま個性につながっているわけだが、清廉潔白な「正義の味方」などよりも、私はこうした二面性を持ったダークヒーローたちのほうが、だんぜん人間味があって、キャラとして深いものがあると思う。 さて、前置きが長くなったが、吾峠呼世晴の大ヒット作『鬼滅の刃』にも、2つの顔を持った魅力的なキャラクターが登場する。 そう、主人公の竈門炭治郎と同期の鬼殺隊剣士、我妻善逸である。 我妻善逸は、師匠の桑島慈悟郎のもとで「雷の呼吸」を学んだのだが、結局、6つある「型」のうちの「壱ノ型」しか会得することができなかった。 そんな彼に桑島はいう。 「信じるんだ。 地獄のような鍛錬に耐えた日々を。 お前は必ず報われる。 極限まで叩き上げ、誰よりも強靭な刃になれ!! 善逸は師匠の言葉を信じて鍛錬を続け、「壱ノ型」の高度な技である、「霹靂一閃」の「六連」、「八連」、そして「神速」を身につける。 などと書くと、『鬼滅の刃』を未読の方は、おそらくこの善逸のことを真面目な「努力の人」だと思うことだろう。 無論、それは間違ってはいないのだが、平常時の彼は、どちらかといえば、臆病で情けない、いわゆるヘタレである。 しかも生まれながらの女好きで、惚れた女に騙されて借金を背負い、窮地に立たされた過去もある(そのときに助けてくれたのが、師匠の桑島だった)。 当然、鬼と戦うときはいつも泣き言ばかりいっているが、彼はなんと、恐怖が限界に達すると眠ってしまい、それと同時に勇敢な人格(と先に述べたような高度な剣技)を解き放つという、一風変わった能力(?)の持ち主でもある。 そう、善逸の強さの秘密は、この睡眠(失神)による人格の入れ替わりにあり、眠っているときに見せる勇敢な姿は、臆病な彼が自分自身を守るため、無意識のうちに生み出した別人格だと考えていいだろう。 たとえば、単行本の3巻の終わりから4巻の頭にかけて、荒れ狂う伊之助(猪の皮を頭に被った同期の剣士)に痛めつけられながらも、炭治郎の「箱」を守り続けた善逸の姿を見て、胸を打たれない人はいないだろう。 彼は、友人の炭治郎が、その箱のことを「命より大事なもの」といっていたというただそれだけで、身を挺してかばったのだ。

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#鬼滅の刃 【お試し】我妻善逸には隠し事がある【小説】

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累計発行部数1,000万部超の大ヒット漫画『鬼滅の刃』。 今年4月にはアニメシリーズもはじまり、加速度的に注目を集め、今や『週刊少年ジャンプ』でトップクラスの人気を誇る。 (メイン写真/吾峠 呼世晴『鬼滅の刃』(集英社)) 主人公・竈門炭治郎の家族が、ある日、鬼に皆殺しにされた。 しかし、妹の竈門禰豆子は鬼へと変貌して生き延びる。 炭治郎は妹を人間に戻し、家族を殺した鬼に復讐するため、鬼殺隊へと入隊する。 人間社会に巣食う鬼狩りが物語の根幹だ。 本作の最大の魅力は、剣術の体系とそれを利用した戦闘シーンにある。 剣術の体系には、呼吸法と鬼殺の隊士ごとに異なる型がある。 呼吸法とは、鬼狩りのための基礎。 極限まで空気を取り込むことで肺を大きくし、血を躍動させ、技を繰り出す。 「全集中の呼吸」に始まり、隊士の適正ごとに習得する型は異なる。 炭治郎であれば水、のちに詳述する善逸であれば雷。 呼吸の型により攻撃が可能となるのだ。 戦闘シーンは、鬼たちの行使する「血気術」という特殊な術と、隊士の呼吸法を用いた攻撃との応酬が見物。 双方の個性あふれる術と技との駆け引きではあるが、単に必殺技の連続というわけではない。 隊士側は、術をかわす、ダメージをおさえる、間合いや呼吸をととのえるなど、技以外での戦術も凝らされている。 互いの「次の一手」が常に気になり、ページをめくる手がとまらない。 特に、炭治郎の戦闘描写は、技の手数、戦術から、アクションゲームの攻略動画を見るような爽快感があるのだ。 しかし、本稿では、心・技・体のすべてを高いレベルに引き上げる炭治郎ではなく、ふだんはヘタレで技も一つしか持たないが、その技のみで一点突破する我妻善逸について掘り下げる。 善逸は、鬼殺隊入隊のための最終選別で炭治郎とはじめて出会い、第20話から鬼狩りに同行する。 すぐに弱音を吐き、自分に自信が持てない、さらに感情の浮き沈みが激しく、特に意中の女性を見つけるたびに暴走する。 一見頼りないキャラクターだ。 しかし、蜘蛛の鬼編からは、それまでの姿からは想像できないほどの活躍を見せる。 第32話にて、善逸は、蜘蛛の鬼一族の住む山で、炭治郎たちとは別の行動をとり、たった一人で蜘蛛の鬼(父)の相手をする。 はじめは鬼の放つ小蜘蛛に刺され、さらに彼らの姿が人面蜘蛛であるのを確認するや、「夢であってくれたなら 俺 頑張るから」、「起きた時 禰豆子ちゃんの膝枕だったりしたらもうすごい頑張る」と叫びながら逃げるありさまだ。 もちろん蜘蛛の鬼(父)と対面したときも逃げる。 刺された部分から毒が回ることも指摘され、木に登る。

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累計発行部数1,000万部超の大ヒット漫画『鬼滅の刃』。 今年4月にはアニメシリーズもはじまり、加速度的に注目を集め、今や『週刊少年ジャンプ』でトップクラスの人気を誇る。 (メイン写真/吾峠 呼世晴『鬼滅の刃』(集英社)) 主人公・竈門炭治郎の家族が、ある日、鬼に皆殺しにされた。 しかし、妹の竈門禰豆子は鬼へと変貌して生き延びる。 炭治郎は妹を人間に戻し、家族を殺した鬼に復讐するため、鬼殺隊へと入隊する。 人間社会に巣食う鬼狩りが物語の根幹だ。 本作の最大の魅力は、剣術の体系とそれを利用した戦闘シーンにある。 剣術の体系には、呼吸法と鬼殺の隊士ごとに異なる型がある。 呼吸法とは、鬼狩りのための基礎。 極限まで空気を取り込むことで肺を大きくし、血を躍動させ、技を繰り出す。 「全集中の呼吸」に始まり、隊士の適正ごとに習得する型は異なる。 炭治郎であれば水、のちに詳述する善逸であれば雷。 呼吸の型により攻撃が可能となるのだ。 戦闘シーンは、鬼たちの行使する「血気術」という特殊な術と、隊士の呼吸法を用いた攻撃との応酬が見物。 双方の個性あふれる術と技との駆け引きではあるが、単に必殺技の連続というわけではない。 隊士側は、術をかわす、ダメージをおさえる、間合いや呼吸をととのえるなど、技以外での戦術も凝らされている。 互いの「次の一手」が常に気になり、ページをめくる手がとまらない。 特に、炭治郎の戦闘描写は、技の手数、戦術から、アクションゲームの攻略動画を見るような爽快感があるのだ。 しかし、本稿では、心・技・体のすべてを高いレベルに引き上げる炭治郎ではなく、ふだんはヘタレで技も一つしか持たないが、その技のみで一点突破する我妻善逸について掘り下げる。 善逸は、鬼殺隊入隊のための最終選別で炭治郎とはじめて出会い、第20話から鬼狩りに同行する。 すぐに弱音を吐き、自分に自信が持てない、さらに感情の浮き沈みが激しく、特に意中の女性を見つけるたびに暴走する。 一見頼りないキャラクターだ。 しかし、蜘蛛の鬼編からは、それまでの姿からは想像できないほどの活躍を見せる。 第32話にて、善逸は、蜘蛛の鬼一族の住む山で、炭治郎たちとは別の行動をとり、たった一人で蜘蛛の鬼(父)の相手をする。 はじめは鬼の放つ小蜘蛛に刺され、さらに彼らの姿が人面蜘蛛であるのを確認するや、「夢であってくれたなら 俺 頑張るから」、「起きた時 禰豆子ちゃんの膝枕だったりしたらもうすごい頑張る」と叫びながら逃げるありさまだ。 もちろん蜘蛛の鬼(父)と対面したときも逃げる。 刺された部分から毒が回ることも指摘され、木に登る。

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