盗賊 王 バクラ。 獏良了とは (バクラリョウとは) [単語記事]

盗賊王バクラ×アテム

盗賊 王 バクラ

駆け引き ドリー夢小説 「待っていたわ、盗賊王バクラ。 」 神殿の一番奥、千年アイテムの祀られているその部屋。 バクラがその部屋に踏み入ったとたん、 正面から女盗賊の声が響いた。 「へえ、オレ様を待ち伏せしていたって訳か。 」 「先回りしていた、と言って欲しいわね。 あなたに奪われた千年リングの恨み、忘れてはいないわ。 」 は正面からバクラを睨み付ける。 その手には、千年アイテムの1つ、千年眼を握りしめて。 「あんたの名はだったな。 そんなにオレ様の事が忘れられなかったと?クク…。 」 余裕で、それでいて馬鹿にしたような笑いだ。 彼はに対して、いつもこうだった。 「ふざけないで!」 は今日こそこの盗賊王を負かせてやろうと構える。 はバクラと同業者、盗賊である。 そして目的も彼と同じく、千年アイテムを集めている。 だが以前、が千年リングを求めてある神殿に踏み入った時、 偶然にもバクラと鉢合わせとなった。 その時、千年リングはすでにバクラの手にあった。 こちらも盗賊、千年アイテムは渡すまいと一度はバクラの手から千年リングを奪ったものの、 また奪い返されてしまった。 最も屈辱的な方法で。 「好かれる理由はあっても、恨まれる理由なんて覚えがねえがなあ?」 「誰があなたなんかにっ…!」 はハッとその時の事を思い出し、つい自分の唇を手で押さえる。 あの時、はバクラに唇を奪われたのだ。 それはバクラの心理作戦であり、ただの遊びであるのかもしれない。 そうやって動揺させ、その隙にの手から千年リングを奪ったのである。 その記憶を振り払い、は強気に正面のバクラを見据えた。 「こうやってお互いが千年アイテムを求めていても埒が明かないわ。 今日こそ決着を付けましょう。 」 「ほぅ…?」 バクラは面白そうにを見ている。 は千年眼を握っている自分の手をバクラに見えるように広げて見せた。 この千年眼はこの場所で手に入れたばかりの物である。 「今から、この千年眼を私とあんたのちょうど間、上部に向かって投げるわ。 再び地面に足が付いたその時に千年眼を持っていた方が勝ちよ。 」 スピードとジャンプ力の勝負である。 この2つなら、は誰にも負けない自信があった。 「あんたが投げるのか。 いいぜ、そのくらいのハンデはやる。 で、負けたらどうしてくれるんだ?」 自分が勝つ事を前提で聞いてくるようだ。 憎たらしいくらいに余裕な盗賊王である。 だが、は汚い手でバクラに勝とうなんて思わない。 こちらも、盗賊としてのプライドがある。 「負けた方は、盗賊を辞めるのよ。 」 ははっきりと言い放った。 「ククッ……ヒャハハハハ!!面白ぇ女だな! この盗賊王バクラ様に向かって言う言葉かよ!!」 「私は本気よ!」 だが次には、高笑っていたバクラの表情が一瞬にしてに冷たく、冷酷なものに変わった。 は思わず、一歩下がりたくなるような恐怖を感じた。 「いいぜ。 あんたがこのオレ様の『先回りをした事』、『勝負を挑んだ事』が 千年早えって事を思い知りな…!!」 そして、運命を決める勝負となった。 は千年眼を持つ右手を大きく振りかざした。 「行くわよ、勝負ッ!!」 そして高い天井に届くくらいまで千年眼を投げた。 それと同時に。 はその千年眼めがけてジャンプした。 絶対に、負けられない。 バクラよりも先に、千年眼を手にしてみせる…! そう、思いながら。 だがバクラの姿が見えず、不思議に感じたは、ふと下方に目をやる。 そこからの視界に入ったのは、はるか地面で自分を見上げている盗賊王。 いつもの、余裕な笑いを浮かべながら。 バクラは、一歩もその場から動こうとしなかったのである。 (……一体、何故!?) 確かにさっき、バクラは勝負を了解したはず。 勝負を捨てたなんて事もありえない。 そう思っている内に、千年眼の位置まで自分自身が辿り着いた。 は空中で千年眼を掴み取った。 (どうであれ、これで私の勝ちね…!) これで自分の屈辱も晴れる、そう思いながら今度は重力に逆らう事なく、 地上へと落下していく。 だが、そこからがバクラの罠だったのである。 ドサッ!! 「えっ………!?」 クッションの様な弾力を感じ、自分の体がバランスを崩し、倒れた。 が落下したのは、地面ではなかった。 何が起こったのかすぐには理解できなかった。 だが、バクラのこの言葉により、自分の状況を知る事となる。 「受け止めたぜ、あんたの『体ごと』だけどな!」 の体はバクラの腕の中に抱かれる形で、『抱き止められて』しまったのである。 は衝撃を受ける間もなく、その体を激しく動かし、もがいた。 「……な、何するのっ!?は、放しなさいッ!!……」 「あんたの足は地面に付いていない。 これでオレ様の勝ちだな。 」 バクラはニヤっと笑っての体を地面に降ろしてやった。 バっと、はバクラの体から離れた。 自分の心臓の鼓動が早い。 不覚である。 はキッとバクラを睨みつけるが、どうやってもその顔の動揺は隠せない。 「こんな勝負はありえないわ!反則よ!」 そうは言うが、バクラが聞く耳を持つはずがなかった。 バクラはグィっとの顎を片手で掴み、自分の顔の方へ向けた。 「オレ様にとって、いつでも『奪う事』は簡単なんだよ。 あんたの命だろうとな……!」 その冷たく、射るような視線に、背筋が凍る。 くやしいが、が感じたものは確かに『恐怖』だった。 先程の勝負だって、バクラにとっては遊びに過ぎなかったのだ。 はその威圧感に耐えられず後ろへ身を引いたが、背中に壁が当たり、 追い詰められる形になった。 「さあて……負けた方は盗賊を辞めるんだったよな?」 そう言って自分の顔ギリギリまで迫られ、は覚悟を決めた。 諦めではないが、自分はどこかでこの盗賊王には敵わない、と思ってしまった。 その本当の理由は、自分の胸の中にあるのだが。 「あんたには盗賊を辞めてもらう。 だが、それだけじゃ可哀相だからよ。 これからは、オレ様の奴隷になってもらおうか。 」 その言葉を聞いて、は顔を上げた。 「なんですって!?ふざけないで!!」 だが、顔を上げたのが間違いだった。 彼のその視線は、自分を捕らえてしまった。 そして、心さえも。 こんなに近くで、バクラの眼を見てしまったから。 本当は分かっていたのだが、こんな気持ちは認めたくなかった。 唇を奪われた、あの日から。 「本当は今までも千年アイテムでなく、『オレ様』を追って来たんだろう? だから気を遣って言ってやってるんだぜ。 ありがたく思いな!」 「違う!私はあなたに恨みがあるから…!」 だから、ここまで来た。 でも、それは確かに立前でしかない。 本当は千年アイテムの事もどうでも良くなって来ていたのも事実だった。 ダンッ! バクラが、壁に向かって片手を付いた。 自分の顔のすぐ横に、バクラの手が置かれた。 「だが、オレ様は優しいんでな。 あんたに選択権をやるよ。 」 「選択……権?」 口ではそう言いつつも、の思考は別の所にあった。 お願いだから、その視線で自分を見ないで欲しい、そう思った。 その鋭い目を細める動作にさえ、自分の心は動かされている。 「今から30秒間、オレ様はあんたに一切、手出しはしねえ。 ここから逃げるなり、好きにするんだな。 だがこのまま居続けるのであれば、あんたの承諾と受け止めるぜ。 」 そう言って有無を言わせず、バクラは目を閉じた。 30秒のカウントダウンが始まったのである。 (逃げる…ですって?私が?) 足が竦んでいる訳ではない。 だが、何故かはその場から動く事が出来なかった。 いや、本当は動こうとしなかっただけかもしれない。 目の前にいるのは、ただじっと目を閉じている盗賊王。 いつもの冷たく、威圧感のある瞳が隠されたその顔に、 手を伸ばせばすぐ触れられそうだった。 自分がこの盗賊王に心が動かされるのは、彼の瞳の力によるものだと思っていた。 だが、それは違った。 現に今も、この盗賊王に動かされているのだ。 足は動かないのに、『心』が動かされている。 早く、30秒が過ぎて欲しい。 自分が壊れてしまう前に。 「この私が逃げるなんて事、出来る訳ないじゃない…。 」 そう小さく呟いた瞬間、バクラの瞼が開かれ、その瞳が自分を捕らえた。 「タイムオーバーだ。 」 バクラは両手で壁に手を付き、に覆い被さる体勢になった。 そのまま、に唇を重ねた。 『あの時』と違ったのは、深く、静かで、長い口付けだった事。 「これは、がオレ様の奴隷(モノ)になったという証だ。 」 唇を離したバクラが、まず言った言葉がこれだった。 誓いのキスとでも言うのだろうか。 「あなたにまた、奪われるとは思わなかったわ…。 」 は頬をおもいっきり赤らめながら、自分の口を押さえた。 珍しく素直に反応しているを見て、バクラは満足そうに笑った。 「クク…。 じゃあ、行くぜ、。 」 そう言ってバクラは長い服を翻し、後ろを向いた。 「ま……待ってよ、私はまだ、あなたに付いて行くなんて……!」 彼の大きな背中に向かって叫ぶ。 もし、ここでバクラが振り返らなければ、 はバクラに付いては行かなかったであろう。 まだ、『盗賊』としてのプライドも『女』としてのプライドも にはあったからだ。 だが、なんとバクラは自分の方へ向かって手を伸ばして来たのである。 「来な。 」 そして、はその手を取った。 本当に、盗賊王バクラはずるい人だ。 振り向いて欲しい時には知らん顔をして、 振り向いて欲しくない時にはこうやって手を差し出す。 強くて気まぐれで、それでも心を奪われない女性はいないだろう。 「あなたを憎みながら付いて行ってやるわ。 」 「憎しみは自分に力を与えるが、女の憎しみは自分を醜くするだけだぜ?」 「だ…黙りなさいっ!!」 「気の強ぇ女は好きだぜ。 こいつは今夜が楽しみだな、ヒャハハ!!」 「……………今夜?」 盗賊王バクラの奴隷となったは、 この時点ではまだ『今夜起こる事』を予測出来なかった。 彼との旅は始まったばかりである。 END 何気に、以前に書いた盗賊王ドリーム『奪われたもの』の続きになってたりします。 相変わらずキス魔な盗賊王、さらに奴隷設定も入れてみましたがどうでしょう。 5万ヒット、そして日頃のお礼の気持ちを込めてあゆささんに捧げます。

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闇遊戯が「罰ゲーム!」から「ファラオ」になったことで変わった5つのこと 〜後編〜【遊戯王 原作 アニメ 考察 感想】

盗賊 王 バクラ

鍵の守護者達全員が、いきなり出現したバクラに警戒の視線を送る。 彼等はバクラが三千年前の大邪神の魂の欠片で、ネオ・グールズ事件の黒幕だった男なんて知りはしないだろう。 それでも一目で分かる危ない気配をバクラは放っていた。 だがここにいる面子の中で『バクラ』の正体を知っている丈と亮の二人は、警戒心なんて生温い次元では留まらない。 いつでも動けるよう闘気を滲ませながら、バクラの一挙一動に注意を払う。 黒いコートを羽織ったバクラは顔に喜悦を貼りつかせたまま、十代と影丸理事長、鍵の守護者達を見渡す。 そしてその双眸が『宍戸丈』に向けられるとピタリと止まった。 「な、なんだ年寄りでもない癖に髪の毛が白い訳の分からん男は! 貴様、どこから湧いて出た!」 「クククククッ。 訳の分からねえとは酷ぇなぁ。 あとこの髪の色は生憎と地だよ。 三千年前からなぁ」 「三千年前!?」 「まさか遊戯さんとなにか関係があるのか!」 驚く万丈目や十代を制して、丈は皆を守るように前へ出る。 するとバクラも邪悪な笑みを深めた。 「よう、宍戸丈。 かれこれ四年ぶりかぁ?」 「……バクラ。 今の力は」 「三邪神を支配下に置くだけあって慧眼じゃねえか。 一目でオレ様の力のトリックを見抜きやがるとはなぁ」 黒いカードが集まって、人の形として顕現する。 それは三年前のダークネスの尖兵、ミスターTの現れ方そのものだ。 現れ方が同一なだけならば偶然ということも考えられるが、信じがたいことにバクラから発せられる『魔力』には、ダークネスの気配が色濃く浮かんでいる。 「ダークネスの力を、自身に取り込んだのか……ッ!?」 「魂を引き裂かれ死に体だったオレ様と、テメエにやられて力を衰えさせたダークネス。 お互い手を組むには都合が良かったんでね。 そこの老い耄れを使って、ダークネス世界との門を開かせて貰った。 くくくくっひゃーははははははははははははははははははははは! 三千年前はファラオと神官共を一人で相手取った盗賊王が堕ちたもんだぜぇ。 他人と手を組まねえと存在することすら儘ならねえとはよぉ。 ま、お蔭で誰かに憑りつかねぇでも活動できる体は得たがな。 老い耄れ、テメエには感謝しといてやるぜ。 あとそこの猫に入っている錬金術師サマにもなぁ!」 バクラの悪意を正面から浴びたファラオが、全身の毛を逆立てて威嚇するようにバクラを睨む。 基本的に怠け者のファラオがああまで敵意を剥き出しにするのは初めてだった。 恐らくバクラの悪意が錬金術師アムナエル、つまり大徳寺教諭に向けられたものだったからだろう。 「……お、おぉ。 私はなんと愚かなことを……。 若さ欲しさに、あんな邪悪なモノにダークネスの力を渡してしまうとは……」 「邪悪とは随分な言い草だな、理事長サマ。 これでもオレ様はテメエの計画のためにしっかり協力してやったんだぜぇ~。 今でもあっちの森じゃ魔術師野郎とオレ様の手下がやりあっている所だしなぁ。 ま、オレ様としちゃ動くのに必要な仮の肉体を手に入れ、理事長サマが猿みてえに踊る様を見物できて満足だ。 完全に宍戸丈の支配下に収まっちまった三邪神や、そこの三幻魔には対して興味はねえ。 盗賊としちゃ欲情の一つはするけどよぉ。 だからなぁ。 そうも戦意を剥き出しにされたら、オレとしては困るんだよ。 え? 宍戸丈」 武藤遊戯、海馬コーポレーション、墓守の一族。 三千年前の因縁に関わる多くの存在が、数年に渡って捜索しても闇に潜むバクラの足取りを掴むことができなかった。 盗賊というだけあって、隠れたバクラを見つけ出すことは並大抵のことではない。 そのバクラが自分から丈の目の前に現れてくれたのだ。 この千載一遇の機会を逃すことはできない。 「バクラ、四年前の決着をつけよう。 お前は影丸理事長相手に戦った後だ。 ここは先輩に譲れ」 盗賊王バクラの野心は危険だ。 ここで倒しておかなければならない。 「デュエルっつってもこのオレ様は単なる影。 デッキなんざ持ってねえんだがなぁ。 丸腰で戦う訳にもいかねえし、そうなると仕方ねえ、か」 そう言うとバクラは理事長に手を翳す。 すると理事長のデュエルディスクにセットされていたデッキが、黒い波動を放つバクラの掌に吸い込まれていった。 バクラの腕から浮かび上がっていく旧型のデュエルディスク。 バクラは自身のデュエルディスクに、そのデッキをセットし直す。 三体の幻魔を投入し運用するために構築されていた影丸理事長のデッキを。 「折角だ。 こいつらで相手してやるよ。 神話以来の神同士の潰し合いといこうぜ」 「……いいだろう」 海馬瀬人が武藤遊戯の生涯の好敵手、城之内克也が武藤遊戯の生涯の親友ならば、さしずめ盗賊王バクラは武藤遊戯の生涯の宿敵だ。 その実力は『伝説の三人』に劣るものではない。 それが例え悪しきモノだったとしても伝説であることに違いはないだろう。 遠慮は不要。 丈は三邪神のカードをデッキに投入する。 「亮、ちと派手になる。 後輩たちは任せたぞ」 「任せておけ」 サイバー・ドラゴンが光の結界を十代や万丈目たちの周囲に張る。 十代のハネクリボーも癒しのオーラで皆を守った。 「おい、雑魚共。 お前たちはなにか出来んのか?」 『無茶言わないでよ万丈目の兄貴~! オイラたちは効果のない通常モンスターなのよぉ』 『そんな便利な特殊能力なんて』 『あるはずない!』 「ええぃ。 使えんクズカード共め!」 万丈目とおジャマ三兄弟も相変わらずのようでなによりだった。 三邪神と三幻魔が正面より戦えば、下手したら地形が変わりかねないほどの余波が飛び交うことになる。 だがこの調子ならば心配は無用だろう。 これで丈もなんの躊躇いなどなく思いっきり戦えるというものだ。 『デュエル!』 宍戸丈 LP4000 手札5枚 場 無し バクラ LP4000 手札5枚 場 無し 「先攻はオレ様だ、ドローカード。 永続魔法、カードトレーダーを発動。 こいつは自身のスタンバイフェイズ時に手札を一枚デッキへ戻し、代わりに一枚カードをドローするマジックカード。 当然既にメインフェイズになっちまったこのターンの使用は出来ねえ。 オレはモンスターをセットし、リバースカードを二枚場に出す。 ターンエンドだ。 さぁテメエのターンだぜ。 三幻魔を出されるのが恐けりゃ、今の内にオレを倒すことだな」 「アドバイス感謝する。 俺のターン、ドロー!」 三幻魔が神に匹敵するのは能力ばかりではない。 召喚の難易度もまた神と同様厳しいものがある。 それこそまともなデュエリストであれば専用デッキを構築しない限り、召喚することすら難しいだろう。 バクラは良くも悪くも〝まとも〟なデュエリストではないが、彼も初手で三幻魔を召喚することは出来なかったらしい。 ならばバクラの言う通り三幻魔を出される前に倒してしまうのが、もっとも手軽で安全な三幻魔の攻略法だ。 (まぁ生憎と……) 丈は自分の手札を見比べ、心の中で嘆息する。 相手が完全な無防備状態ならいざしれず、この手札でワンターンキルを決めることは困難だ。 とすればここは無理して勝ちを急がず、三幻魔召喚のリスクを冒しても安全第一でゆくべきだろう。 「おろかな埋葬を発動。 デッキよりレベル・スティーラーを墓地へ送る。 そして神獣王バルバロスを攻撃表示で妥協召喚。 妥協召喚したバルバロスの攻撃力は1900となるが……十分だ。 バトルフェイズ。 神獣王バルバロスでリバースモンスターを攻撃! トルネード・シェイパー!」 バルバロスの槍に貫かれて、バクラの伏せていたモンスターが破壊される。 「クククククッ。 ひゃーはははははっははははははははははははははははははははははははははははははは!!」 「!」 「オレ様の出したモンスターを攻撃してくれてありがとよぉ! お蔭でこいつの特殊能力が発動するぜ! オレ様が伏せていたのはジャイアントウィルス。 こいつが破壊された時、デッキから新たに二体のジャイアントウィルスを場に出現させる。 さらに自分のデッキから「ジャイアントウィルス」を任意の数だけ 表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。 バクラの場に巨大な細胞のようなものが二つ出現する。 しかもライフにも500ポイントのダメージを受けた。 たった500と侮るなかれ。 一体で500ということは三体で1500。 初期ライフの八分の三にも値する。 厄介なモンスターだ。 「……俺はカードを二枚伏せターンを終了する」 バクラのモンスターを倒すどころか、展開の手伝いをしてしまったのは痛いが、現状他にすることもない。 丈は追撃を諦めてターンを終了した。

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獏良了

盗賊 王 バクラ

気付けば僕は、何もないどこまでも、どこまでも続く暗闇にいた。 『こうして話せるようになるのはもっと先だと思ってたんだがなァ』 現れたのは、褐色の肌をした白髪の青年。 ぱっと見は女顔の美青年だが、その顔には十字の傷と、隠しても隠しきれない凶悪さが滲み出ている。 「君は誰?」 『オレ様はお前に力を与える者だ』 「僕に力を?」 その言葉で、今までの記憶が蘇る。 まさか、 「その代償は魂、ですか?」 「……」 青年が沈黙する。 まさか、本当に。 …… 『…プッ、クハハハヒャーハッハッハ。 漫画の読み過ぎだぜ。 誰もテメエのちんけな魂なんざいらねぇよ』 と思ったらただ笑いを堪えていただけのようだ。 馬鹿にしたような言い方に若干ムッとしながらも、質問を重ねる。 「じゃあ何なんですか?」 『特に代償はねぇ。 ま、強いて言えば俺様の手伝いをしてもらう程度だな』 「手伝い?」 『なあに簡単さ。 俺様の野望を叶えるために俺様の宿主になるだけでいい』 「君の野望?」 『まあ、それはおいおいな』 青年が邪悪な笑みを浮かべながらはぐらかす。 正直かなり怪しい。 というかそれを言ったらこの空間自体がおかしいのだが。 「昨日カードを送ったり、デッキを組んだのは君?」 『ああ。 この町を探った中で、てめえの心の闇が一番居心地良さそうだったからな』 〝 心の闇〟。 またわからない単語だ。 『で、どうすんだ?俺と手を取るか、取らないのか』 「君に協力すれば、このデュエルに勝てるの?」 『ああ勝てるぜ』 その言葉だけで十分だった。 右手を青年に向けて差し出す。 「君の名前は?」 『俺か?俺はバクラ。 盗賊王バクラだ』 「よろしく。 バクラ君」 そして僕達は、契約した。 空気が重い。 おまけに朝にも関わらずあたりがどんどんと闇に支配されていく。 「ってーな……」 高槻麟が立ち上がる。 先程まで狂ったように笑っていたのが嘘のようだ。 うまく言えないが、纏う雰囲気がまるで違う。 「諦めてはいないのか?」 「諦める?なぜ?」 「手札0。 場には雑魚モンスター一体のみ。 俺の場には攻撃力3400のダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンがいる。 こんな絶望的な状況で貴様に何ができる?」 「絶望?」 突然、高槻麟が小馬鹿にしたような顔を向ける。 先程までの弱弱しい様子がまるでない。 いっそ不気味といって言いまでの変わりようだ。 「この程度の状況なんざ王墓の墓荒らしに比べたら、屁でもねえんだよ」 ギラリ、と瞳に光を灯し、デッキトップに手をかける。 士道もその勢いに思わず目を閉じる。 「オレ様はモンスターをセットしてターンエンドだ」 「俺のターン」 オレ様、といきなり一人称が変わるなど明らかに様子がおかしい。 が、そんなことは士道にとってはどうでもいいことだった。 大切なのは勝つこと。 そのための手札は揃っている。 「俺は魔界発現世行きバスガイドを召喚し、デッキから彼岸の悪鬼スカラマリオンを特殊召喚。 2体のモンスターでオーバーレイ!エクシーズ召喚。 ランク3、彼岸の旅人ダンテ。 効果でORUを一つ取り除き、デッキから墓地に3枚落とし、1500ポイント攻撃力をアップする。 バトルだ!彼岸の旅人ダンテでセットモンスターを攻撃」 士道が召喚したのはダンテ。 本当ならここはブレイクソードを呼びたいのだが、生憎と種切れだった。 そしてダンテの攻撃でセットモンスターが反転する。 そこに現れたのは、一つ目の不気味な壺。 「セットモンスターはメタモルポッド。 お互いの手札を全て捨てる。 その後、お互いはデッキから5枚ドローする。 「だがこれで終わりだ!ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンで攻撃。 その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。 「ククク、一応保険として王様のカードを入れておいて正解だったぜ」 「貴様…そんな旧時代の化石のようなカードばかり。 本当に勝つ気があるのか?俺はカードを2枚伏せてターンエンド」 士道和哉 LP2550 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 彼岸の旅人ダンテ 伏せカード2枚 「オレ様のターン。 カードドロー…士道っつたかぁ?確かにテメエのカードは強ぇ。 オレ様が今使ってるカードじゃ普通なら逆立ちしたって勝てねえだろようよ。 」 普通ならな、と高槻麟。 否、バクラは顔を歪めて笑う。 「テメエが馬鹿にし、切り捨てていったカードども。 しかしその怨霊こそが俺様の力となる。 見せてやるぜ。 怨霊どもの恐ろしさってやつを。 オレ様は昇霊術師ショウゲンを召喚」 杖を構え、金の角帽子を被った高僧が現れる。 「何だよ坊主かよ」 「弱そうだよなぁ。 やっぱバトルシティ時代の骨董品じゃ、士道さんのレアカードにゃ勝てねえんだよ」 見慣れないカードに士道が警戒する中、勢いよく召喚した割には貧弱そうなカードに、取り巻きたちが野次り出した。 「ククク。 テメエらが馬鹿にできるのも今の内さ。 オレ様はカードを1枚伏せてショウゲンの効果発動」 ブツブツと、ショウゲンが念を唱え始め、杖から光が溢れ出す。 「手札をランダムに1枚捨てることで、場に存在する特殊召喚されたモンスター全てを破壊する。 フィールド上の特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。 また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、 お互いにモンスターを特殊召喚できない。 僧侶の念仏と共に、聖なる光が士道のモンスター達に襲い掛かる。 「っ…伏せカードオープン!永続罠、幻影霧剣。 ショウゲンのモンスター効果を無効にする」 【幻影霧剣】 永続罠 フィールドの効果モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。 「幻影霧剣」の 2 の効果は1ターンに1度しか使用できない。 1 :このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、 対象のモンスターは攻撃できず、攻撃対象にならず、効果は無効化される。 そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。 2 :墓地のこのカードを除外し、 自分の墓地の「幻影騎士団」モンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターを特殊召喚する。 この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。 霧の剣がショウゲンを貫き、その身をも霧散させる。 これでバクラの策は尽きた…にも関わらず、バクラの顔には未だに邪悪な笑みが浮かんでいる。 「フフフ…ショウゲンの効果を無効にしてくれてありがとうよ。 これでオレ様のとっておきを安心して出すことができるぜ」 バクラのデュエルディスクから霧のようなものが噴き出す。 何時の間にか形となった三体のそれは、まるで亡霊のようだった。 「このカードは、墓地の悪魔族モンスター三体を除外することで特殊召喚できる。 自分の墓地から悪魔族モンスター3体を除外した場合に特殊召喚できる。 1 :モンスターゾーンのこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに、 相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動する。 墓地のこのカードを装備カード扱いとしてその相手のモンスターに装備する。 2 :このカードの効果でこのカードが装備されている場合、 装備モンスターのコントロールを得る。 赤子のような壊れた人形を抱えた、蒼顔の死体人形が現れる。 その薄く開いた黄色い眼は、見る者全てに恐怖を感じさせた。 「何だよ、これ…」 取り巻きたちが恐怖のあまり固まっている中、士道は屈することなくその目をダーク・ネクロフィアへと向ける。 「ほお、まさかこいつを見て恐怖に屈しない奴がいるとはな。 腕はまだまだ未熟だが器は神官クラスってとこか」 バクラが感心したように言う。 どうやらこの士道という男、ただの不良というわけではないらしい。 「ふん。 俺は誰にも屈しない。 たとえどんなな敵であろうとも必ず打ち倒し、勝利をもぎ取るまでのこと」 「なら、最後まで抗ってみるんだな。 ダーク・ネクロフィアで彼岸の旅人ダンテに攻撃。 「フッフッフ。 ……ありがとうよ士道。 そしてエンドフェイズ時にダーク・ネクロフィアの効果を発動する。 それでこそ奪った甲斐があるってもんだ」 「黙れ!ダーク・リベリオンは必ず取り戻す。 俺のターン」 「俺はダンテの効果を発動。 それぞれを除外し、墓地の幻影騎士団モンスターを特殊召喚する。 甦れクラックヘルム、フライジャルアーマー。 そしてレベル4モンスター2体でオーバーレイ!」 騎士達の亡霊が銀河に吸い込まれ、新たな命を生み出す。 このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる。 「エクスカリバーの効果発動。 ORUを2つ取り除き、攻撃力を倍にする」 「ほお。 攻撃力だけならオベリスク並みか」 「バトルだ。 エクスカリバーでダーク・リベリオンを攻撃。 沈黙の邪悪霊。 攻撃モンスター1体の攻撃を無効にし、 相手フィールド上に表側表示で存在する他のモンスター1体を選択して代わりに攻撃させる。 (選択したモンスターが守備表示の場合は攻撃表示にする) 「更に罠カード発動。 メタル化・魔法反射装甲。 ダーク・リベリオンの攻撃力を300アップする。 「何だ、これは…?」 「ククク。 それが闇のゲームの痛みさ。 闇のゲームでのダメージは、実際にプレイヤーの命を削るぜ」 余りの痛みに思わず体がよろめいた士道に、取り巻き達が駆け寄る。 「騒ぐな!この程度の痛みどうということはない。 俺はカードを1枚伏せてターンエンド」 (伏せたカードは魔法の筒。 これで奴が攻撃してこようとも、それを跳ね返すことができる) 「オレ様のターンドロー。 フフフ」 「何がおかしい?」 「士道。 どうやらテメエはこのターンで終わりのようだぜ。 永続魔法エクトプラズマーを発動。 そしてターン終了時に、このカードの効果が発動する」 反逆の龍が突如として霧へと姿を変える。 「ダーク・リベリオンが霧に!?」 「エクトプラズマーは互いのエンドフェイズに場のモンスターを生贄に捧げ、その元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与えるのさ。 「士道、さん…?」 取り巻き達の誰かが、惚けたような声をあげる。 そしてそれはあっという間に伝染し、大きな環となってバクラの周りを取り囲む。 きっとイカサマしたに違えねぇ。 落とし前、つけさせてもらうぜ」 ポキポキ、と拳を鳴らしながら取り巻き達が迫る。 「ククク…いいぜぇ。 リハビリにゃあ丁度良い。 かかってきな。 オレ様が相手をしてやる」 それが合図となり、取り巻き達が一斉に襲い掛かる。 だが彼らは知らなかった。 自分達が誰を相手にしたかということを。 しかしその全てに士道は見覚えがあった。 「お前たち」 倒れているのは全員自分と共に苦楽を共にした仲間達。 そして、その中心に立っていたのは… 「ったく…盗賊王のオレ様に喧嘩で挑むなんざ3000年早えんだよ。 「あん?ほお。 目が覚めたか。 闇のゲームで負けた割には結構回復するのは早かったな。 」 頑丈な体だぜ。 高槻麟 バクラ がそんなことをつぶやいたが、士道は仲間達が麟のようなひ弱な少年にボコボコにされたという事実を受け止めきれられず、全く耳に入らなかった。 「ああそうそう忘れるとこだったぜ。 てめえ確かデュエルする前に勝った方は負けた方になんでも一つ命令できるとかなんとか言ってたな。 」 そう言うと、麟は今までにないほど邪悪な笑みを浮かべ、士道のデッキへと手を伸ばした。 「それじゃあお前のデッキはありがたく頂戴したぜ」 そう言うと麟はもう興味はないと言うように士道に背を向け歩きだした。 その背を、士道はただ黙って見ていることしかできなかった。 ……これは、特別な王と少年の物語。 誰にでも存在するものではない、闇の中に完結する物語。 そして僕の物語は、ここから終わりへと向かい始めた。

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