オレム 看護 論。 【看護理論】ドロセア E・オレムの看護理論

看護論と看護過程の展開 / 金子 道子【編著】

オレム 看護 論

セルフケア要件 [ ] オレムは3タイプの要件を明らかにしている。 普遍的セルフケア要件。 全ての人間は共通のニーズを持っているとされる。 発達的セルフケア要件。 人間の胎内から成人に至るまでの各ライフサイクルで、時期別に必要とされる。 健康逸脱に対するセルフケア要件。 損傷・疾病を治療またはコントロールする 普遍的セルフケア要件 [ ] 健康を保つために必要な、8つの普遍的セルフケア要件(The Universal Self-Care Requisites)は以下とされる。 十分な摂取の維持• 十分な摂取の維持• 十分な摂取の維持• 過程と排泄物に対するケアの維持• 活動とのバランスの維持• との維持• 人間の生命・機能・安定に対する危険の予防• 人間の潜在能力、既知の能力制限、および正常でありたいという欲求に応じた、社会集団の中での人間の機能と発達の促進 看護者は、このそれぞれのセルフケアに対して、援助モデルを組み立てるとされる。 発達的セルフケア要件 [ ] 発達的セルフケア要件について、オレムは次の2つの下位分類を上げている。 生命過程を支え、発達過程を促進する状態、すなわち人間構造のより高いレベルでの組織化と、各期間における成熟に向けての人間の進歩を促進し、維持する。 人間の発達を阻害する可能性のある状態に対するケアの提供。 そのような状態による有害な影響の発生を、予防するためのケアの提供• そのような状態を和らげたり、克服するためのケアの提供 たとえばオレムは、教育剥奪、社会的適応の問題、健全な個性化の失敗、親族・友人・同僚の喪失、財産喪失・職業的安全の喪失、未知の環境への突然の転入、地位に関連した問題、不健康もしくは廃疾、苦しい生活状態、末期疾患及び差し迫った死、などを挙げている。 健康逸脱に対するセルフケア要件 [ ] この節のが望まれています。 ( 2018年5月) セルフケア不足 [ ] 個人が自身のセルフケア要件を満たせないとき、「セルフケア不足」が発生する。 看護者はこれを発見し、必要に応じて援助するとされる。 看護システム [ ] 患者のセルフケア不足を援助する視点に立って、看護システムは以下の3タイプに分類するとされる。 全代償的看護システム(Total Compensation)• 一部代償的看護システム(Partial Compensation)• 脚注 [ ].

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セルフケアの看護|オレムの看護理論や看護目標・看護計画、看護研究

オレム 看護 論

また自然に根ざした生活環境の破壊の中で、多様な健康状態を持つ人々は、どのように対応していくべきかを考えていかなければならない時代となってきた。 入院中心から地域を中心としたケアへ、また、病気の治癒から病気と共に生きる時代への変化と共に自分を支え、自分でケアをする「セルフケア」と言う概念が注目されるようになって来ている。 人間は一人一人異なった価値観、信念、目的を持って生きている。 その一人一人が独自性を発見し、自分の長所、短所を自覚し、短所を補い長所を育てていく動機を持つ必要がある。 そして他者と協力しながら、自立して自分の健康維持増進を図っていけるような専門的援助を必要としている。 そこで、一人の人間としても自分を支えていくセルフケアと言う考え方が重要になってきている。 セルフケアとは、個人が生命、健康、安寧を維持するために、自ら行う諸活動の事で、これには、「自らのため」に「自ら行うケア」と言う意味を持ち、その人の生活そのものや、その人が大事にしているものと言う意味も含む。 具体的にセルフケア教育として幼いときから計画的にその年齢や能力に応じて身につけていく必要がある。 今回、グループワークで、変化する個人の健康問題、健康状態とヘルスニーズやそれに対する医療の社会的対策をふまえ、私たちの生活の中で、疾病や病気とどう付き合っていくのかという視点でオレムのセルフケア理論について概要を理解し、事例を通して考えてみた。 「人は元来自らの力で自分や家族の健康を守ろうとするものである」と言う基本的考えに基づいたオレムの看護理論を用いた看護過程の展開は、看護実践のルールに基づいていることを学び、私たちのこれまでの看護のありさまについても振り返るよい機会となった。 そこで、課題図書の抄読、看護理論の概略と事例への展開、展開から看護理論への評価を通してグループで学んだことをまとめてみたのでここに報告する。 2. ヒューマンエージェンシー、すなわち意図的に行動する能力は、自己はもちろん他者のニードを認識し、ケアという形で必要な行動をとる。 3. 分別のつく大人は、自己や他者の生命の維持、機能、調整行動に対して、行動の限界という形で自己の不足がわかる。 4. ヒューマンエージェンシーは自己や他者のニードを認識し、自己又は他者に働きかける方法を見出して、それを発展させ伝えることによって実践されるものである。 5. 組織化された人間のグループは職務をこなし、必要とされる計画的な自己と他者への働きかけをするのに不足を経験しているグループメンバーに対してケアを提供するための責任を分担している 環境:(オレムは特に定義していない) 人間機能、人間発達、一般安寧に影響を及ぼす 健康:「健康であるとはセルフケアが出来ている事」 「不健康とは、セルフケアが出来ていない事」 看護:自分自身や家族だけではセルフケアが十分に出来なくなった場合、つまりニードが満たせなくなった時、他人(ケア専門家)の力をかりることになる。 このとき、この自分に代わって専門的なケアを提供するのが「看護」である 4.オレムの基本的概念の6つの用語 【患者に関するもの】 1) セルフケア 自分のために自分で行う 健康にとって基本的なもの 年齢、性別、文化、健康状態に関わりなく個人に必要とされるもの 生命や健康、安寧を維持するために個人が自分自身のために積極的に行う行動 次の事が個人にとって良好であればセルフケアが出来ているとみなす ・ 生命過程と正常な営みが維持できる ・ 正常に成長・成熟し、発達している ・ 疾病と障害を予防し、コントロールできる ・ 障害を予防し、あるいは他の方策で補える ・ より幸福を目指す 2)治療的セルフケア要件(治療的セルフケア・デマンド) 個人が生命健康および安寧を維持しがたい状況に置かれた場合に、ある特定の期間、ないしは継続した援助を必要とすること。 3)セルフケア・エージェンシー セルフケアをする必要がある要件を満たすために、時間に沿い、それらを実践し、評価できる能力 セルフケアを行うために、個人が必要とする複合的で、包括的な行動能力をいう。 表1.セルフケア・エージェンシーの構成要素 4)セルフケア不足(欠如) 治療的セルフケア要求とセルフケア・エージェンシーの関係を示す。 セルフケア・エージェンシーが個人の複合的、包括的能力では治療的セルフケア要求を満たす事が出来なくなり、バランスが崩れた状態となり治療的セルフケア要求が高まっている関係をいう。 このバランスが崩れた時看護ニードが生じる。 【看護に関するもの】 5)看護エージェンシー 看護者が患者のセルフケア欠如を見出し、その欠如に対して援助計画し、実践する際に必要とされる看護者側の複合的・包括的な能力又は資質をいう。 セルフケア・エージェンシーと看護エージェンシーがであったときに看護システムが生まれる。 5.看護理論 表2.オレムのセルフケア看護モデル(オレムのセルフケア一般看護理論)13) 1)セルフケア理論 概要:セルフケアについて記述・説明したもの セルフケア、セルフケア・エージェンシー、セルフケアの要件、治療的セルフケア・デマンドという概念を基礎にしている 患者のセルフケアという目標を追求する。 3大要件 ・普遍的セルフケア要件 ・発達的セルフケア要件 ・健康逸脱に関するセルフケア要件 【普遍的セルフケア要件】 ライフサイクルのあらゆる段階の全ての人間に共通して見られるもので、年齢、発達段階、環境およびそのほかの要因によって変化する。 この要件は生命過程、人間の構造・機能の統合性の維持、並びに一般的な安寧に関連して起こる。 表3.普遍的セルフケアの8つの領域6) 普遍的セルフケア要件に変化を与えるもの 基本的条件付け要因 表4.セルフケア能力やケア・デマンドを規定する要因3) 表5.普遍的セルフケアの8要件3) 発達的セルフケア要件】 人間の発達過程、ライフサイクルの様々な段階で生じる状態や出来事、および発達を阻害する出来事に関連しておこる。 生命過程を支え、発達過程を促進する状態に必要な要件 2. 人間の発達を阻害する可能性のある状態に対して必要なケアの要件 表6.発達セルフケア要件 健康逸脱に関するセルフケア要件】 遺伝的・体質的欠損や構造的・機能的逸脱、ならびにそれらの影響、医学的な診断と治療に関連しておこる。 病気や損傷を持つ人々、欠損と廃疾を含め特殊なかたちの病理学的問題を持つ人々、ならびに医学的な診断と治療を受けている人々のために存在する。 表7.健康逸脱に関するセルフケア要件 2)セルフケア不足理論 概要:オレムによる看護の一般理論の中心をなす概念 看護がいつ必要になるかを説明している 看護によって人をどのように補助できるかを記述・説明している 個人がセルフケア要素を満たす事が出来ない時、看護が必要となる 看護師は5つの補助手段を通じて、セルフケアの要件を満たす事が必要である。 1.患者の代役を務めること 2.指導する事 3.教育する事 4.補佐する事 5.現在又は将来の需要を満たす患者の能力を高めるために、環境を提供する事。 3)看護システム理論 概要:患者のセルフケアの要件を満たすために看護者が行う一連の行為を扱う。 看護システムは、患者のセルフケアの要件及びセルフケア・エージェンシーによって決まる。 患者のセルフケアの要件を満たす3つのシステムから成る。 全代償システム 一部代償システム 支持・教育システム 各システムは、看護の責任、看護者と患者の役割、看護者と患者の関係に関する原理、および患者のセルフケア・エージェンシーと治療的セルフケアの需要に対処するために必要な行為のタイプを記述したもの。 そこには色々な次元の関係が導入されている 「看護実践の3つの次元」 l 社会的関係: 看護者は「看護を正式に提供できる看護師」という立場に立ち、受け手の人間は「ケアを受ける患者」という立場に立つ。 看護をめぐって提供者と受け手の間には一定の契約が成立している。 l 対人関係: 看護者は、正規の資格に基づき、ケアの専門家として、患者は能力に応じてセルフケアを行い、あるいは、支持を受けるものと両者間に人間的交流が起こり、協力関係が成り立つ。 l 技術的関係: 看護者は、専門家として患者にどんな援助が必要かを見極め、看護実践をする。 患者は、自分にどんな援助が必要か、どんな事が自分には出来ないのかをはっきり認識する。 そこには、状況に応じて、専門的技術による援助の授受関係が成り立つ。 .オレムの看護過程 表10.オレムの看護過程と5段階の看護過程の比較3) 7.看護実践のルール オレムは看護実践を展開していく場合に、そこにある種のルールがあり、看護援助の固有の考え方、行動があるという。 以下の5項目(セット)から構成される 表11. 事例への展開 1.22歳心因反応の患者の事例紹介 既往歴 小学校3年生の頃、急性腎炎で入院する。 その時医者より激しい運動を止められ本人はショックを受けていた。 現病歴 中学校3年生の夏休みより全く気力がなくなり、その頃より登校拒否となる。 中学校卒業後、高校は推薦で入学したが、1週間通学しただけで、以後は入院までの5年間はずっと家に引きこもっており、家族との生活時間は異なっていた。 家族が不在の日中は家の中で自由に過ごし、家族が帰宅すると自室に引きこもっていた。 母親とは自室のドアを1枚隔てて話をしていた。 1ヶ月前より、便秘を気にして食事を摂取しなくなる。 母親が食事をすすめると、「食べられるけど、食べたらあかん」言い拒否する。 しかし、ジュース等で水分は摂取していた。 独語が多くなり、テレビを見ていても独語が聞かれるようになった。 「腎臓がなくなった」「腎臓が縮んでいる」「首の線が切れた」「背骨が曲がった」など体の事で奇妙な発言がある。 何か気に入らないことがあると人のせいにして、特に祖母に当たりちらす。 昨日、丸一日は「食べたら死ぬ」と言って一切口にせず。 本人が、泣きながら親に「顔が悪いので恥かしい」「マラソンができなかったのがつらい」と言う。 拒食の他に日常生活では、洗面、入浴なども行っていない。 この5年間、医療機関を受診することはなかった。 しかし今回、拒食により体重減少を認め、生命にかかわると思ったので、両親が無理やりに精神科に受診させた。 入院時の状況 155. 0cm、36. 5kg 更衣、入浴が一ヶ月されていないため、頭髪は伸びてボサボサで顔も隠れている。 全身垢まみれで悪臭を放っていた。 食事は促すが拒食したり吐き出したりして摂取しないため点滴が開始となる。 エンシュアリキッドの内服も開始になり、少しずつ飲むことができていた。 服薬は促すと、なんとか内服していた。 看護師が話しかけても顔を逸らし、接触を避ける。 落ち着きなく徘徊している。 トイレの中でズボンを脱いだままうろうろし、脱いだズボンを便器の近くに捨てる、どこのトイレでするか決められず1時間くらいうろうろするなどの行動が見られた。 入院から退院までの経過 入院時、食事促すが「口臭するから、身体、腎臓悪いから」と言い摂取せず、飲水のみ行う。 内服薬は促せば服用する。 身長155. 0cm、体重36. 5kg(標準体重からー15kg)であるため、入院から3日間は、点滴施行する。 本人より「点滴すると腎臓が悪くなる。 点滴止め欲しい」という訴えが聞かれる。 本人も少しずつ努力して食事を摂取するとの発言あり、点滴中止となる。 以後食事はほぼ8割程度摂取できるようになり、1ヶ月に1kg程度のペースで体重増加認める。 「皆が集まるところはかなわん」と言い、部屋で過ごすことが多い。 「顔が悪いから」と言い顔を覆って目を見て話せない。 入浴・洗面等のセルフケアは意思表示するものの自らは行わない。 促せば応じるため、看護師は見守りを続ける。 徐々にではあるが、促さなくてもセルフケアが行えるようになり、同年10月より生活技能訓練が開始となり、調理等も積極的におこなっていた。 入院期間中数回にわたって2泊程度の外泊をするが特に問題認めない。 平成X年4月、病棟看護師が家庭を訪問し家族への指導、本人には家での役割等の指導を行う。 同月中旬よりデイケア体験も開始し、退院後も続けて通うよう説明する。 同年5月7日に退院となる。 生活状況 小学校の成績は中の上 中学校は中位 両親の下で育ち、性格は大人しく思い込みが激しい。 運動が得意だった。 小さい時から感受性が強かった。 中3の夏休みより全く気力がなくなり登校拒否になるが、中学校は卒業できた。 高校は推薦で入学したが1週間通学しただけで、以後家に閉じこもっている。 父は役所勤め、母は農協に勤めており経済状態は裕福な家庭であった。 健康状況 小3〜小6に腎臓疾患で医師から運動を止められていた。 一ヶ月前より便秘を気にして、食べなくなる。 「食べられるけど食べたらあかん」と言い、拒食。 ジュース類は飲んでいる。 痩せている。 「腎臓が無くなった、腎臓が縮んでいる、首の線が切れた、背骨が曲がった」など体のことばかり言う。 活動状況 家の中では自由に活動していた。 家族が帰宅すると顔を合わせたくないのか自室に入ってしまう。 母親とはドア越しに話しはしていた。 夜中2時から朝10時まで睡眠し、10時から24時までテレビや雑誌を見て過ごす。 欲しい雑誌はメモに書いて母親に買ってきてもらっていた。 家族と食事の時間帯のずれはいるものの、自分で食べていた。 1ヶ月前よりテレビを見ていてもテレビに対し、独語をするようになり、入浴、更衣もしなくなる。 ・ 精神症状に対しては向精神薬を投与する。 ・ 入浴を促し、入浴後衣類・下着の交換を促す。 起床時の洗面と食後の歯磨きを誘導する。 ・ 身だしなみを整えるよう声かけを行う。 ・ 規則正しい生活ができるよう、時間的な声かけを行うとともに生活環境を整える。 ・ 今まで一人でいることが多く、コミュニケーションの障害があるが、今は無理に他患者との交流を勧めず、患者の行動を見守る。 その他日用必需品は本人もちで、両親が面会時に持参する。 ・ 医療・看護については医師・看護師が中心となって行う。 ・ 両親との連絡を密にし、情報交換しながら患者を支えていく。 本人から「点滴止めて欲しい、少しずつ食べる」との発言があり、29日に点滴は中止になる。 3.看護問題リスト #1 拒食のため栄養不足がある #2 精神発達障害による対処能力の障害がある #3 引きこもりにより社会性の欠如がある 8.事例の結果 A氏は、対人関係がうまくいかず、引きこもり、拒食状態であり、日常生活の中で、清潔面など身の回りのことができず、心配した両親が精神科を受診させた。 入院時、全身垢まみれであり更衣もしておらず、拒食の為痩せており生命にかかわるということで、本人は入院を拒否していたが医療保護入院となった。 入院後、入浴の必要性を説明し促すが、終始拒否的態度であった。 入院により今までとまったく環境が変化し引きこもりを続けていたA氏にとって、人との関わりや集団生活が苦痛に感じていたようである。 A氏の情報収集で入院前の状況を把握すると共に、なぜヘルスケアを必要としているのか、どのようなヘルスケアが必要なのかを明らかにしていくことからはじめた。 まず、A氏の生理的問題、行動上の問題、認知問題、情緒問題やA氏の健康に関する状況(セルフケア要件)を評価し、どんなケアを必要としているか(セルフケア・デマンド)をアセスメントし、目標を立てどのような方法で誰がどのようなケアを提供していくかを決め実践していった。 環境の変化に加え拒食していることや現実検討機能が低下していることにより、強制的な治療や看護師の過剰な介入は、自己を脅される体験となるため、返答は少ないものの無理に感情表出を促さず、限定された室内で日常生活上の行動が行えるという視点で関わりを持った。 常に見守る姿勢を示し、A氏自身が安全感、安心感をもち、現実感覚を取り戻せるよう働きかけを行った。 そしてA氏の行動だけにとらわれず、A氏の感情やおかれている現状に目を向け、理解すると共に、十分な説明を行ったうえでのA氏の行動は、認めながら支持していくようにした。 A氏の生命、安全、健康を保持するために効果的に看護を実践し評価を繰り返していくと、少しずつコミュニケーションも取れ始め食べない理由についても話し始めた。 食事は、「点滴されるのがいや」と言う理由であるが、少しずつ摂取し始めた。 服薬についても「腎臓が悪くなる」と言いながらも自らの手で服薬できるようになった。 排泄については、トイレ内でうろうろしたりズボンを下げたまま歩行したりしているが、尿意を感じ排泄するという行為はできている。 コミュニケーションをとるとき、「人前で顔を見せるのがいや」と言い、布団をかぶっていたり壁のほうばかり見ていたりしていたが、少しずつ看護師の問いかけに答えたり笑顔が見られるようになった。 A氏は、感情を言語化するのは苦手であるため、コミュニケーションの基本として、A氏の感情の言語化を促しながら強引には感情の表出を促さず、変化に気をつけ、A氏の感情を推察しながら日常生活が整えられるように援助し、穏やかな口調、態度で対応しながら適切な距離を保ってかかわった。 時には、A氏が人間としてより成熟し、成長し、社会に対応できるようにケアを提供することを考え、積極的なケアの参加を促したりもしたが、A氏自身の変化を待つ姿勢でかかわることが、A氏に安心感と、安全感を与えA氏自身のセルフケア能力の発揮につながった。 今回、拒食の為、精神科に入院している22歳の女性の事例をもとに、看護記録データーをまとめることからはじめた。 セルフケアについて、人は条件さえ整っていれば健康に生活していくにはどうしたら良いかを自ら見出し、問題を解決していく能力と意思をもっており、又それらを実行していく能力を持っていることを頭に置き、事例について必要とする情報を集め、情報を整理し解釈して見た。 この時点で何故看護を必要としているのかについて検討していかなければならないと考えた。 そして、三大要件の普遍的、発達的、健康逸脱に対するセルフケア能力のアセスメントの方法についてオレムの理論を基に考えてみた。 セルフケアの方法は、その人がどのような文化的背景や、価値観を持っているかによって異なる為、A氏の文化的背景や、価値観、人間はどんな時にどのような行動を取るのかといった対処行動についての知識を持つ必要がある。 A氏のセルフケアや、A氏に対する家族の協力については、発達上のセルフケア要件や、A氏の文化的背景、価値観の中に抱合されると考えられ、A氏のセルフケア不足及び、依存的ケア・エージェントの不足としてアセスメントされると考える。 セルフケア三大要件とセルフケア行動の理解をすることが、セルフケア要件を充足する為のセルフケア行動を系統立てて考えることにつながる。 また、様々なアセスメントの結果から引き出される事例の治療的セルフケア・デマンドについて考えてみることが重要である。 三大要件を満たすにあたっては、専門的な知識、テクニックを用いなければならない。 そのためには、A氏にどの程度セルフケアがあるのか査定し、必要なケア(満たさなくてはならないケア)はどの程度か、看護援助を開始するかどうかを考え、セルフケア能力の不足と治療的セルフケア・デマンドの決定及び、看護に関する理解をした上で、看護診断をおこなう過程となる。 セルフケア能力の不足、限界の判断は、援助の質に直結するので、セルフケア要件、セルフケア行動の知識に裏付けられた理解が、診断を容易にすると考えられる。 具体的にいつ看護(介入)をはじめたら良いか、いつ看護(介入)をやめたら良いか、どんな看護(介入)をどの程度しなければならないのか、治療的セルフケア・デマンドに対する看護システムの働かせ方を検討していく必要がある。 看護システムは、セルフケア能力の不足、限界を補い新たなセルフケア能力の開発、助長を促すことが、看護の目的となっている。 看護ケアの提供がシステムとして行われているので、誰が、何を、どの程度、責任をもって行えば良いかを決めてから、実践し、記録し評価を行うことが重要である。 看護過程の展開としては、A氏のセルフケア能力、自立度、生活習慣が項目ごとに評価できて、この状況の中で援助の為の資源がどれくらい誰から得られるのかを考えて、A氏が、どれくらい精神的に成熟しているか、意欲があるかなど評価する。 次に、A氏の行動や反応をみて何が問題か、具体的にどんな援助をするのかは、看護師の専門能力と技術にゆだねられる部分が大きいと考えられる。 A氏の病状をよく理解し、どのような看護、援助が不可欠かがわかる為には、知識と経験に裏付けられた高い専門能力を必要とする。 症状の観察とその変化への対応も専門能力と技術に裏付けてなされるものであると考えられる。 これらの考え方は、看護を病院内だけにとどめず、退院後も在宅でどのように支えていくかと言うことにもつながると考える。 その目的は、理論的に系統付けられた看護の目的を確立させた看護理論を実践し活用することにある。 看護理論は、「人間はどんな存在で、患者とは、どんな存在で、患者とは一体どんな人たちを対象にして、何を目的として、どんな活動をすることなのか」と言う、私たちがあいまいにしていて意見の一致、合意を欠きがちな点を明確に概念化している。 臨床にいる看護師が、理論を生かして看護実践することによって、看護師の日々の実践を系統的に行うことが出来る。 それによって看護の目的意識をしっかり持って理論的に裏付けられた看護を施行し、個別性のある看護を実践できる。 オレムのセルフケア理論に基づく看護の目的は、その人の潜在的、顕在的に持っている各種のセルフケア能力の最大発揮、あるいは発揮できるように能力の開発を助けることにあり、各個人や家族の持っているセルフケア能力を援助するには、その個人や家族のセルフケア能力のアセスメントが援助の質を規定する。 各個人や家族の持つセルフケア能力のアセスメントの為には、普遍的、発達的及び、健康逸脱における各セルフケア能力に関する情報が先行する。 セルフケア能力の不足は普遍的、発達的及び健康逸脱における各セルフケアアセスメントによって治療的セルフケア・デマンドが決定される。 セルフケア能力のアセスメントの結果を、看護システムを用いて実践に移していくことが必要であり、セルフケア能力に関する理論的枠組みを理解し活用することが看護の目的になる。 オレムは、目標論については、詳しく述べているが、方法論の部分については、あまり述べられていない。 また、概要で、環境についても詳しく述べていない。 普遍的セルフケア要件は、ニードにあわせて上手く分けられているが、発達的セルフケア要件は、当初普遍的セルフケアの領域に多く含まれていたが、発達に関するニードを強調する為普遍的セルフケアの領域におけるニードとは切り離された。 オレムによる発達セルフケア要件の抽象的説明はあるものの具体的要件やセルフケア能力を更に理解する為には、発達理論枠の導入が必要である。 ハビガーストやエリクソンの理論などを用いることで、アセスメントする際に有用となると考えるが、どの理論が妥当性であるのか検証していくことが必要である。 健康逸脱に対するセルフケア要件については、疾患についての知識や、十分な情報がないとアセスメントしにくいところもあり、あいまいな部分もあると考えられるので今後さらに検討していかなければならないと考える。 今回心因反応をもつ事例をあげ展開を行った。 精神科においては、精神症状ばかりが重視されがちであり、また、精神疾患を持つ患者の多くは、生活技能能力の低下や欠如が見られるため、セルフケア理論を用いることは、アセスメントする際に、看護を実践するための目標論としては非常に有効である。 しかし、セルフケアを少しずつ積み上げて能力を修得する必要のあるクライエントの援助方法には、クライエントの持つ強みとなる部分へのアプローチの視点が必要となる。 そのため、問題解決思考の看護診断より、患者の健康な反応を達成するウェルネス型看護診断を用いることが有効ではないかと考える。 患者主体が唱えられて長年経過しているが、実際に臨床の場では医療者主体に展開されていることが多いのではないだろうか。 オレムの看護理論では、「患者を治してやる」といった医療者主体の発想から、「患者は自ら治っていく」のであり、医療者はそれを援助する役割と位置づけ、患者主体に考えている。 このオレムの考えに共感するとともに、患者主体の看護に一筋の新たな指針を得ることができた。 また、一般的に患者を3側面(身体的・精神的・社会的)からとらえるようにと、よく言われるが、今回の学びを通して、オレムの必要とされる要件(普遍的・発達的・健康逸脱に関する要件)に基づいてアセスメントしていくことで、患者を多方向からとらえることや、患者の持つ能力を査定したうえで、すぐに援助するのではなく必要なとき必要なだけ援助することが大切であることを学んだ。 しかし、このグループワークがすべてスムーズにいき、学びが深まったことばかりではなかった。 オレム理論はなじみのない用語が多く、定義の解釈から理論の展開まで理解するのがとても困難であった。 粕田らは「オレム理論を実践的臨床場面で、活用する際には、これらの用語をそのまま使用することにいかほどの意味があるのか考えてみる必要があろう。 Dr.Underwoodは、日常の看護ケアの中で、あまりなじみない理論用語は避け、実践で使用しているなじみのある用語に置き換えて使用していくことを提唱している。 」1)と述べている。 総合的に見ても、何度もメンバーの中から、オレム理論は「難しい」という言葉が聞かれた。 それは、なじみのない用語が随所に記載されているため、本を読み進めていくうえにおいて、何度も用語の定義を再確認する必要があった。 そのため実際の臨床の事例にあてはめ、イメージ化し、理論を展開することを困難にしたと考える。 オレム理論を解釈することはとても一人ではできなかったが、メンバーで概要について話し合いながら理解を深め、実際に行ってきた看護を振り返って討議したことで、前に進むことができ、グループなりにまとめることができた。 著名なオレムのセルフケア理論は、看護理論の本等で常に紹介されているが、今回初めて本腰をいれて看護展開にまで取り組んだ。 最後まで、理論を読みこなし自分のものにするという課題の達成には至らなかった。 そのため残された課題については、個々に継続して学習していく必要がある。 オレムに限らず、常に看護理論の学習していくことはよりよい看護の提供するためにかかせず、理論の学びを通じて看護観を養い、発展させることは看護師に求められる使命であると考える。 おわりに オレム看護論原著は、理論的記述で全体が統制されていて、理論的記述に関して論理学をふまえて読み、かつ理解する必要があり、かなり難しくグループワークの中で、何度も話し合いながら進めていった。 概要の読み合わせが大変であったが、オレムの理論を使いアセスメントシートとして活用できることなど実践に役立つこともわかった。 今後も、変化する個人の健康問題、健康状態とヘルスニーズなどをふまえ、日常生活の中で、疾病や病気とどのように付き合っていけばよいのかを考えながら、看護の実践に看護理論を生かしていきたいと考える。 謝辞 この論文をまとめるにあたりご指導賜りました三重県立看護大学 助教授 藤本幸三氏に深く感謝致します。 看護システムは全代償システム、一部代償システム、支持・教育システムから成る。 看護システムの選択は誰がセルフケア行動をおこなえるのか、行うべきなのかという視点から決められ、患者のセルフケアのニードの充足に関して、患者の側と看護者の側の責任性を明らかにするものである。 この場合、看護者は患者のセルフケアに対して全責任を負う。 この場合、患者、看護者双方がセルフケアの責任を負うことになる。 この場合、セルフケアの責任は患者にある。 「セルフケア不足看護理論」においては、エージェンシーを構成する能力とは、セルフ・エージェント、依存的ケア・エージェント、または看護者エージェントの能力である。 「セルフケア不足看護理論」においては、セルフケア・エージェント、依存的ケア・エージェント、がエージェントである。 各種のセルフケア不足をもつ人々のために、看護者が看護の必要性を決定し、看護の計画を立案し、看護を実施するときに駆使する複合的な行動能力をいう。 妥当で適切な手段を用いて、普遍的、発達的、健康逸脱の各セルフケア要件を満たすための個人の行動要求をいう。 オレムは以下の8項目をあげている。 依存的ケアを提供し、遂行する人を指す。 患者と接触している期間、看護者が看護ケアを生産する活動のこと。 7 No. 8〜No. 15,1998. 9) EN看護学生版:Vo1. 8 No. 1〜No. 3,1999. 10)金子道子:ヘンダーソン・ロイ・オレム・ペプロウの看護論と看護過程の展開,照林社,2000,p144〜p252. 11)黒田裕子:ケースがあるからわかりやすいやさしく学ぶ看護理論,日総研, 1996,p83〜p99. 12)CONCEPTUAL MODELS OF NUARSING analysis and application(third edition) Joyce J .Fitzpatrick Ann L.Whall,APLLETON&LANGE 1996. 13)野嶋佐由美監修:セルフケア看護アプローチ第2版,日総研,2002,p34. 14)Karen M.Stolte,R.N.,Ph.D.著,小西恵美子.太田勝正訳:健康増進のためのウェルネス看護診断,南江堂,1997..

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オレム 看護 論

ドロセア・オレム(Dorothea E. Orem、 - )は、の開発者として知られるの。 で生まれた。 の付属看護学校でを学び、1930年代初頭に資格を得た。 さらに教育を受け、にで看護学士号を取得し、に同大学で看護教育の修士号を取得した。 には、での名誉学位を取得している。 ~にかけて、合衆国保健教育福祉省(HEW)でカリキュラムのコンサルタントとして、実務看護婦訓練を向上させるプロジェクトに携わっていた。 彼女の看護理論の中心には、セルフケアということで、自己の生命、統合的機能および安寧に役立つように自己の機能を規制するために自己または環境に向けられる行動を日々行っている、このセルフケアができない状態になったところで、他者からそれを補う援助をうけることになるという考え方がある。 、の自宅で逝去した。 セルフケアの要件 [ ] セルフケア要件とは、個人が必要とするセルフケアの種類の表現である。 普遍的セルフケア要件ーすべての人間に共通にみられるもので、年齢、発達段階、環境、およびその他の要因によって変化する。 十分な空気摂取の維持• 十分な水分摂取の維持• 十分な栄養摂取の維持• 排泄過程と排泄物に関するケアの提供• 活動と休息のバランスの維持• 孤独と社会的相互作用のバランスの維持• 人間の生命、機能、安寧に対する危険の予防• 人間の潜在能力、既知の能力制限、および正常でありたいという欲求に応じた、社会集団のなかでの人間の機能と発達の促進• 発達的セルフケア要件 生命と成熟の過程を助長し発達を阻害する諸条件を予防したり、それらの影響を軽減するもの 健康逸脱に対するセルフケア要件 疾病または傷害によって生じるニード 著作 [ ]• 関連項目 [ ]•

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